製造部の役割(製造・オーバーホール)
機械課の業務内容
トラックマスター・標準ゲージ・建築限界測定器等の鉄道測定器を中心に製造しているのが製造部機械課です。鉄道測定器は、軌道等の維持管理のためにミリ単位の高い精度が求められます。その精度を実現するために、工場内には工作機械等の専用設備や、正確に測定できるか確認するための調整治具や試験軌道があります。また、鉄道会社によって規定や運用が違うため、同じ測定器でも仕様が違う製品が多数存在します。営業から注文が入ったら、仕様を確認しながらお客様の求めている製品を製作します。
デジタル式標準ゲージの調整(機械課)
電気課の業務内容
気象・防災・保安・消防に関わる製品を主に製造しているのが、製造部電気課です。レインピュータ(雨量警報器)・水位表示警報器・風速警報器・積雪深計・落石検知装置等の気象防災製品は、列車の運行や安全に関わる製品のため、警報報知機能・停電時のUPS機能・異常発生時の故障検知機能やログ機能を備えているのが特徴です。また、レール温度計・軸力計・マクラギ抵抗測定器等のロングレール関連製品、軌道変位測定器等の保安製品、消防ポンプ車に積載する可搬式投光器も製造しています。
消防用投光器の製造(電気課)
OH課の業務内容
製造部OH課は、お客様に出荷した測定器を良好な状態に保持することを目的とした専門部署です。カネコの測定器は、鉄道の安全運行に貢献する製品を展開しているため、測定に関わるセンサ類は、測定誤差の範囲内で読み取れるように、定期的に点検と調整を行いながら維持することが重要です。カネコの測定器は、終電から始発までの限られた時間の中で測定作業を行われていて、かつ使用頻度も多く、長年使用するには年に一度の点検は不可欠です。毎年、トラックマスター約700台、レーザ式ホーム限界測定装置約30台、自走式自動遊間測定装置約60台の点検を行っています。
トラックマスター総合動作試験(OH課)

点検校正(オーバーホール)の流れ
1)オーバーホール製品の入荷
点検校正(オーバーホール)を行う測定器が日野工場へ到着します。運搬会社を使って輸送される場合とお客様自身が直接搬入するケースがあります。日野工場に到着すると測定器をチェックして、同梱されている製品や付属品の数量を確認します。
2)製品の分解・清掃
オーバーホール作業は、測定器を分解して清掃することから始まります。お客様の現場で使われてきた測定器は、一年も経つとレールの油等で汚れていて、レールと接触する車輪やローラが摩耗しています。測定器の清掃を行いながら、破損している箇所や調整が必要な箇所の有無をチェックして、必要であれば部品交換や調整を行います。
3)各センサのスパン調整
測定器のセンサが正常に動作しているか確認を行います。センサが設定した条件で設定通りの値を示すかどうか確認して、微調整が必要な場合は行います。終了後、製品を再組立てします。
4)総合動作試験
全ての作業項目が完了後、実際の軌道を使って測定します。当社が定めた基準に対して全てのセンサが正確に測定可能か、繰り返し試験を行って確認します。
5)出荷検査・納品
検査課によって、測定の不備や検査の漏れがないか、最終チェックを行います。検査に合格した製品は、お客様のもとへ出荷されます。また、総合動作試験の測定値や作業項目毎の写真は、成績表として冊子にまとめて、お客様へ提出します。
※当社では、測定器の点検校正(オーバーホール)を毎年行うことを推奨しています。主要製品の点検校正には、製品の清掃と調整を中心とした「乙点検」と、乙点検の内容に加えてローラやバッテリ等の消耗品の定期交換を行う「甲点検」があります。